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Kennyが日本の大学ではなく、米国の大学を選んだ理由

Kennyが日本の大学ではなく、米国の大学を選んだ理由

この記事ではLanguage Exchange(本書の後半で詳細を説明します)のPartnerの一人であるシンガポールSingapore人のKennyについて紹介します。そして彼が日本の大学ではなく米国の大学を選んだ理由を通じて、現在日本に欠けていることを記します。

Kennyは中華系のSingapore人です。ですから見た目は日本人と変わりません。そんなKennyは米国の田舎にある大学を卒業して、New Yorkにある大学院に進学するために引越してきたばかりでした。Kennyの専攻は生物学、特に神経学の分野です。またKennyはSingaporeで英語で教育を受けました。Kennyは中国系であるため家族とは広東語でやり取りをするそうですが、最も得意な言語は第1言語である英語です。

Kennyは日本語を大学で3年間勉強して、そして日本の金沢にも4ヶ月滞在したことがあります。だから彼の日本語はとても上手でした。私が出会ったLanguage Exchange Partnerの中で彼が最も日本語ができました。Kennyの日本語能力だと日常会話はほとんどまったく問題ありません。独り言も「どうしようかな」と英語じゃなくて日本語で呟いていたりした。そんなKennyと私は英語と日本語の半々で会話をしていました。

Kennyが日本語の勉強をはじめたきっかけは日本のTVドラマが好きだったためです。かなり以前から日本のドラマを観ていたようで、お気に入りのドラマはちょっと古いけどと前置きして「ひとつ屋根の下」「ショムニ」と言いました。最近の日本のドラマも観ているとのことで、いくつか観ているドラマを教えてもらいました。でも、逆に私が知らないドラマばっかりだったので名前を忘れてしまいました。

そしてKennyは「酒井法子さんが逮捕されてがっかりした」と落ち込むくらいに日本のドラマが好きです。まさかNew Yorkで酒井法子さんの逮捕劇に落ち込んでいる人間に出会うとは思わなかったので、これを聞いて思わず笑ってしまいました。酒井法子さんについては「ひとつ屋根の下」で好きになっていたみたいです。

Kennyはかなりの日本びいきなので、大学は日本の大学を選ぶことを考えたそうです。でも結局Kennyは日本の大学を選びませんでした。それは日本の大学で日本語で教育を受けても日本でしか通用しないからです。それは日本語という制約があるためです。しかし、米国で英語で教育を受ければ米国、Singaporeやその他にも英語で仕事ができる国で働くことができます。だからKennyは米国の大学を選びました。

それを裏付けるように、彼のお兄さんはオーストラリアの大学を卒業して、今はSingaporeで働いています。英語で教育を受けると簡単に国外に飛び出せるのだなと思いました。Singaporeは英語で国民を教育することで国を挙げて「英語を話せると10億人と話せる」を実践しているのです。

私はKennyと話しているときに、Singapore人やその他の国々から日本に学生を呼ぶにはどうすればよいのかと考えていました。以下、条件を3つ書きます。

  1. 大学教育が英語で行われていること。特に理工系の学科で英語で教育を行うこと。
  2. 奨学金が充実していること(詳細は記事、「日本とは比較にならないくらいに恵まれた米国の理工系大学事情」にて紹介しています。)
  3. 就職時に英語だけで就職できること。日本語能力を問われないこと。
    • ※補足:2010年4月6日に放送されたクローズアップ現代、「シリーズ アジア新戦略アジアの“人材”を呼び込め」にて、日本語ができない留学生を日本企業は採用をするのをためらっている現状が放送されました。そしてそんな状況のため、日本の大学を卒業した1割未満の留学生しか日本では就職しません。

上記の必要条件を満たせば、日本にも優秀な学生が世界中から集まる可能性が生まれます。十分条件として大学教育の質を上げるという問題が別にありますが、まずは必要条件を満たさないと話になりません。

これら必要条件はもうすでに隣国の韓国が着手していることです。これも4月6日のクローズアップ現代で放送されていました。日本は隣国の韓国よりも遅れています。

私はKennyの話を聞いていて、大学教育というのは日本のプロ野球と大リーグの関係に似ているなと思いました。日本の野球リーグは日本人のために存在します。そして東京大学はさしずめ巨人軍でしょうか。一方、大リーグには世界中から優秀な選手が集まります。日本人で最も優秀な選手たちであるイチローや松井も今は日本の野球界ではなく大リーグにいます。大学教育でも大リーグ同様に米国の大学には世界中から優秀な学生が集まっています。イチローや松井に相当する優秀な学生がそこにはゴロゴロといます。

2010年春に放送された「NHK ハーバード白熱教室」で教室内を見わたせば、日本と違って本当に多種多様な学生が教室にいることに気付くでしょう。そしてまたKennyが通う大学も多文化主義を掲げているため、学生の半分は米国以外の地域からの留学生によって成り立っています。そんなハーバード大学での講義風景と日本の大学の講義風景を比較すると、まだまだ日本は鎖国しているのではないかと思えてきます。

私は今は書かなければならないことがあるため日本語で書いています。しかしあと数ヶ月もすれば「英語:日本語=80:20」の割合くらいにして、英語を主として情報を発信していくつもりです。米国に住む友人たちからは「あなたが日本語でたくさん記事を書いても私たちは読めないから全部英語で書いてほしい」と言われています。

私は最近「日本語でいくら高度な議論をしても日本人以外には伝わらない」ことにもどかしさを感じています。この記事でさえ英語で書けば英語が読める他国の人々に読んでもらうことができます。

私はたぶん自分の子供には日本語ではなく英語で教育を受けさせます。そうすればSingapore人のKennyと同じように世界中の大学から魅力的な大学を選ぶことができるし、世界中で働くことができるからです。

考えてみれば、日本人が大好きな坂本龍馬と同世代の草莽の志士たちもオランダ語や英語を学びました。外国語を必死で学ぶことで海外の列強諸国と対抗しました。英語を勉強するというのはつまりそういうことだと思います。

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