- 2010-10-29 (金) 18:20
- 20歳を過ぎてから英語を学ぼうと決めた人たちへ
英文読解の勉強が辛くなったときにはこの記事を読んでください。
『英語上達完全マップ』の記事を読んで、また英文読解の勉強をしていてなかなか成果が上がらなくて「こんな勉強をするのは無理だ!」と思った人のために私がNew Yorkで経験した出来事を記します。この記事を読んでやる気を高めてください。
昨年(2009年)の暮れに縁があってNew Yorkに支社がある日系企業のChristmas Partyに出席しました。名前は明かしませんが誰もが知っている有名企業です。高級Hotelから見るManhattanの夜景は豪華絢爛でした。
そのPartyには、日本人とそれ以外の従業員がだいたい3対7くらいの割合で出席していました。そして参加した日本人は大きく2つの集団に分けることができました。すなわち、現地の人々との交流を英語で楽しんでいる人たちと、日本人同士で群れて日本語で会話している人たちです。
現地の人たちと交流している日本人は当たり前の話ですが英語が達者です。ですから彼らは英語でちゃんと意思疎通をしていました。しかしそういう人たちは残念ながらとても少なかったのです。有名企業の現地駐在員だからもっと英語ができる人が多いかと想像していたのですがそうでもありませんでした。
一緒に行ったHost Familyのお父さんに、実際の職場での社員の交流具合を聞いてみると、「日本人はふだん日本人同士、日本語で話をしている。そして必要な時だけ米国人と英語で話をする」という職場での状況、つまり大多数の日本人が日本人以外の社員とあまり交流をしていない現状について教えてくれました。
「日本から出て海外に行けば英語が話せる」という幻想は一刻も早く捨ててください。New Yorkでいろいろな日本人を見ましたがそんなことは絶対にありませんでした。「一流企業に勤めていて海外勤務に選ばれる優秀な社員であっても十分な英語力を身につけていないことがある」と私はこのPartyで実感しました。
また、国際的な製造業社に勤務している@kkhakさんからこの件について興味深い事例を紹介してもらったのでここで紹介します。
@kkhakさんの勤める企業の場合
実は自分の同期の営業系でうらやましいことに5年も米国に滞在した者がいます。しかし、彼は英語がまったくできません。彼が滞在していた米国の大都市ではすべて日本語でなんとかできる環境がありました。また本人が英語を学ばなくて済むように「創意工夫」して日本語だけで乗り切ったようです。だから彼はいまだに英語がまったくできないのです。
しかしこんなことができるのは日本が経済大国で無意味な費用をかける余裕があったからでしょう。今後はそんなにうまくいくとは思えないんですけどね。
そして私の勤めている会社は一部上場の国際的な企業なので、社内の昇進にTOEIC基準があります。主任以上に昇格の際は毎回試験を受けます。400点が合格点です。しかし、これを満たさなくても会社が指定した報告書を提出すれば合格です。なので400点という甘すぎる基準でさえも何の意味もありません。
去年から新たに主任になる人(=若手)の場合は、350点以下は無条件に昇格できない。そして350〜400点は報告書を提出する必要があります。ですが、この基準は若手にのみ適用されるので係長以上は従来通りです。点数の水準が低すぎるのは中高年が自分達が責められないように基準を甘くしているためです。
ここでは名前を明かしませんが、私はTwitterでこの有名企業の名前を教えてもらい唖然としました。海外駐在員でも英語ができないことが十分にあり得るのだと、@kkhakさんの話を聞いて分かりました。
もうひとつ私が体験した出来事を記します。私のInternship先の職場にある日本人の男性が来たことがあります。職場で彼(日本人男性)は物怖じもせずに積極的に英語を話していました。しかし、文法と発音はひどいもので「カタカナBroken Japanese Engrish」だよなと私はその人の英語を聞いていて思いました。案の定少し難しい話題になると意思疎通が危うい感じになって、職場の同僚からは横目で「彼はいったい何を言いたいんだ」というような目線が送られてきたので、要所要所で私が補足していました。
面談が終わった後に私はその日本人の男性と話しました。彼は「自分は他の日本人と違って現地の人たちと積極的に話すようにしている。自分は米国に来る前は英語ができなかったが、今では現地の人たちともちゃんと意思疎通ができる」と誇らしげに語っていました。あとでその男性と話した職場の同僚と話してみると「彼の英語は何を言っているのかよく分からなかった。あなたが通訳にいてよかった」と言われました。その時点では私の英語もたいしたものではなかったですが、少なくとも「基本的な文法を踏まえており」「理解される水準の発音」だったからそう言われたのだと思います。
さらにもうひとつ、ある日本人留学生の例を挙げます。彼はCanadaにおよそ300万円の費用をかけて1年間語学留学をしました。しかし彼は英語の基礎がまったくできていない状態で留学したため、結局1年間の留学の結果「TOEIC600点未満」という英語力しか身につけることができませんでした。
話を聞くと、「現地の人と交流できないから落ち込んで何もやる気がしなかった。雪山でSnowboardばかりしていた」と言っていました。日本国内で身につけられる英語の基礎能力を身につけることなく海外留学をすると悲惨なことになると彼の話を聞いて思いました。ここでいう英語の基礎力とは「『英語上達完全マップ』に書かれている勉強法をちゃんと実践しているか」ということです。
ここで本題に戻りますが、仮にあなたが米国に長期間滞在した場合(留学など)、どのように過ごしたいかということです。せっかく海外に行ったのに、日本人同士か英会話学校の生徒同士でしか交流できない、現地の人たちとは交流できない生活。また仮に交流したとしても必要最低限のやりとりしかできない生活。そういう生活を望む人はこのblogや『英語上達完全マップ』を読む人にはいないと思います。
『英語上達完全マップ』に書かれていることをちゃんと実践するのは大変です。しかしそれを実践すると、日本にいながらにしてTOEIC800点以上は必ず達成できると思います。
『英語上達完全マップ』に書かれていましたが、TOEIC800点以上の人なら海外経験がなくてもすぐに現地の人々と問題なく意思疎通ができるそうです。現に私も訪米した時点でのTOEICの点数は800点を超えていました。そのため言葉で致命的に困ったという経験はしていません。留学生活を振り返ると、訪米後1ヶ月後にはもう特に問題もなく普通に暮らしていました。
何のためにこんなに英文読解の勉強をするのだろうと思うかもしれません。それは知的で面白い話をするためです。“Hello”とか“Hi”くらいしか言えない人は“Hello, Hi friends”(挨拶しかできない奴)とみなされて、まともに相手をしてもらえません。私は先ほど紹介したように、大学受験時に十分に英文読解の勉強をしました。そこで身につけた語彙や文法の力によって、米国人といろいろと面白い話をすることができました。たとえば私は下記のような経験をしました。
- 民主党が2009年夏の選挙で圧勝した際にはWall Street Journalを買ってきて、それを元に「これについてどう思う」と友人の米国人に聞いてみました。彼は「日本はなんでこんなに総理大臣がころころ変わるんだ?総理大臣が変わるのになんで選挙をしないのだ?」と不思議がっていました。
- 世界3大美術館のひとつであるメトロポリタン美術館を訪れた際には、宗教と西洋美術について、一緒に行ったCanada人の友人と話しました。また、彼女とNew York近代美術館に行った際には、理解できない美術品を見ながら「この作品のどこが芸術なのか」という芸術の定義について話しました。
- 映画「ナイトミュージアム」の舞台であるアメリカ自然史博物館にSingapore人の友人と行った際には、ひたすら恐竜と宇宙について、また、日本人はなんで鯨を食べるのかという話をシンガポール人の友人としました。
他にもたくさんの思い出がありますが、これくらいで止めておきます。
もし子どもが「なんで勉強しなきゃいけないの?」と尋ねてきたら私はこう教えてあげます。「勉強すれば、勉強していない人たちよりもずっと面白いことができるし、楽しい人たちと知り合うことができるからだよ」
もし『英語上達完全マップ』に書かれている勉強が辛くなったらこの記事で私が紹介した話を思い出してください。英語の勉強は大変だとは思います。しかしここで英語の基礎能力をつければ、後でとても面白い体験、楽しい経験ができるのです。
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