- 2010-10-20 (水) 17:58
- 20歳を過ぎてから英語を学ぼうと決めた人たちへ
Episode 人生で出会った最も愕然とした翻訳 “Mission Statement”
先ほど述べた「落とし穴①外国語書籍が日本語に翻訳される際に意味が変わっていることが多い。そもそも日本語にない概念が数多くある」について、私の中で強く印象に残っていることがひとつあります。
それはMission Statementを日本語に訳したものです。トム・クルーズTom Cruise主演の『ザ・エージェント』(原題 Jerry Maguire)に、このMission Statementは出てきました。
作中でTom Cruiseは、利益ばかりを優先して顧客をないがしろにする会社に対して「このままの利益主義ではいけない! もっと個別の顧客に向きあおう!」と、自身の立場のすべてをかけて書き上げたMission Statementを会社に提出します。
このMission Statementは、もともと宗教を布教する際に使用した言葉なので、日本人には馴染みがありません。この言葉は「自分の人生」や「組織」の最も大切な使命を表す際に使用されます。
このMission Statementという言葉が、日本語字幕では何と「提案書」と書かれていたのです。私は愕然としました。Mission StatementとProposal(提案書)ではまったく意味が違います。「提案書」ではTom Cruiseが人生をかけて伝えようとした自分の想いを表現することができないではないですか! あんまりな翻訳に私は絶句しました。たとえば私なら、直訳風にすれば「使命記述書」、意訳すると「自分の人生をかけてやるべきこと」というようにします。
他の映画についても、日本語字幕では多くの意味が欠落していたり、言葉の概念が変わっていたりすることがたびたびあります。音声と字幕という違い、おまけに日本語と英語の違いがあるため仕方がないとも思うのですが……ただ、Mission Statementはひどすぎました。
結論として私がみなさんに最も伝えたいことは、「日本語と英語はまったく別の言語であり、日本語しか分からない場合は英語圏の文化をちゃんと理解できない」ということです。私たちはこのことを肝に銘じておく必要があります。
追記
後日「使命記述書」じゃまだ足りないと@wagonthe3rdさんより指摘がありました。「檄文」 または「行動宣言書」が良いだろうとのことです。確かに「檄文」の方が強い意志がそこに感じられるので訳としては適切かなと思いました。
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